とっくに狂ってる

ももいろクローバーZを追いかけ、匿名性に寄りかかりながらたまに書く。

はじめてももクロのライブに行った時の話

 

 

今日は私の推しアイドル、銀河一かわいいちゃんズことももいろクローバーZとの出会いについて書いておこうと思う。意味ありげに副題をつけて書くけれどただのオタクの思い出だ。親愛なる推しアイドルグループの結成13周年記念に寄せて。

 

こういう具体的なエピソードなどを書くと「匿名で好き勝手に書く」をモットーとしているこのブログ主が私の友人達にバレてしまうかもしれない。数少ない友人の皆様におかれましてはできれば気付かないふりをしていてほしい。

 

遡ること2012年11月。私がまだ、当時お付き合いしていた方から別れ際に突然「北斗今まで言わなかったあなたの嫌いなところ百烈拳」を放たれて五体を飛散させる前の話。

 

1.招待 ー今きているらしいアイドルー

 

「11月5日休みやろ?ライブ行こうや」

仕事終わり、仲の良い会社の先輩から誘いを受けたのは開催日の2週間ほど前だっただろうか。

一緒に行くはずだったもう1人の先輩が来られなくなりチケットが余ってしまったとのこと。

「誰のですか」

ももクロやん」

「あーなんか今チケット取りづらいっていう」

「せやで、武道館ライブやで」

コンサートなど行ったことのなかった私だったが、チケットが取れないアイドルのライブというコンテンツになんとなく興味を持ち、また休日の遊び方の選択肢の一つとして誘いを受けた。

先輩は「予習やで」といって、彼女達ももクロなるもののライブDVDを貸してくれた。

うわDVDまで買ってるなんて、先輩結構ハマってるんだなぁと少し驚きながらDVDを借り、家で見ることにした。

「極楽門」とデカ字で書かれたパッケージは私の想像するライブDVDのものとは違ったが、さらに驚いたのは再生ボタンを押したあとだ。

オープニングから正味20分の時間がヒーローショー風の茶番だった。全然ライブが始まらない。

「上級者向きだろ……」とぼやき集中力を切らしながらもその後の彼女達のコンサートを観終えた。

 

茶番で挫けるかと思ったし曲を一曲も知らないアイドルのライブなんてと思ったが意外と観れるものだなぁ、が感想だった。

DVD観ましたよ〜と伝えると先輩は「誰が一番良かった?」とマイケルジャクソンのように前のめりで聞いてきたがそんなものは勿論決まっていないしまだメンバーの顔と名前も一致してない。「強いて言うなら黄色の子ですかね〜」と、なんとなく雰囲気の好きだった子を答え「あ〜なるほど(?)、俺もしおりんやで、その子はやな…」と先輩が話し始めた彼女の話は聞き流していた。

 

2.物販ー デビュー戦で大漁旗を買うなペンライトを買え ー

 

ライブ当日。先輩と私は朝イチに日本武道館の最寄り、九段下駅に集合した。

「ライブは夕方からやけど近くに美味しいパン屋があるから朝食を食べていくやで」と言われたが今思えば完全に物販のための早起きだ。

当時の物販列は3.4時間待ち当たり前、待った末に欲しいグッズが買えないこともざらだったな、と突然の回顧ノスタルジー

パンを食べ終えた先輩と私は日本武道館にトグロを巻く物販列に並んだ。借りたDVDはその後一度も見返していなかったが、せめてメンバーの顔と名前は一致しないと失礼ですよねぇと検索して名前を覚えるなどしながら長蛇をゆっくり進んだ。

 

大体3.4時間並んでようやく物販列大蛇の出口。

「せっかくだから自分も記念に何か買いや」と先輩に勧められた。先輩に付き合って並んだものの何も買おうと思っていなかった。

しかし、せっかく3時間も並んだしなぁ、という変な購買意欲の引き金を引いてしまい「では一番お土産っぽいものを」という理由で大漁旗を購入した。

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後で改めて書くが、初めてのももクロライブでグッズを買おうと思ったらまずペンライトの購入・持参がお勧めだ。大漁旗は使わないしデカい。

 

3.直前 ーメガネ兄さんとの一期一会 ー

 

物販を終えた私達は少しカフェで時間を潰した後、開場時間が来てすぐに入場した。

物販に並んでいる時に初めてちゃんと聞いたのだが、今回のライブは「男祭り」という男性限定ライブなのだとか。「先月は同じ武道館で女祭りをやったんやで」と教えてもらった。

当然のことだが、その頃の私はまだ彼女達ももいろクローバーZが、数多のバンドやアイドルが目指すライブ会場のメッカ日本武道館での初単独ライブを「女性限定」という企画ライブでさらっと埋めた異常さには気付いていなかった。

 

席に着いた後の時間をどう過ごしていいかわからずにそわそわしていると、先輩と反対側の隣席にいた兄さんが声をかけてきた。

細身ネルシャツでメガネをかけた、割と私の想像するオタク像に近い兄さんで逆に安心感がある。

物腰の柔らかいそのメガネ兄さんはよかったらどうぞ、と私達にのど飴をくれた。優しいファンの方である。

 

4.開演 ー爆発のステージと龍になった兄さんー

 

兄さんはいつの間にか真っ黒な法被姿になっていた。そして枯れ方と声量の釣り合わないデカボイスで「ヴリャァ!ヴリャァ!」と体をのけぞらせながら今にも口から火線を出す勢いで荒れ狂っていた。

 

兄さんがドラゴラムしたのは開演直後だ。

ももいろクローバーZの登場曲(と紹介して相違ないはず)こと、『Overture』である。

 

オープニングの演出もほどほどに、この曲が流れてから観客席の人々は変貌した。

今思えばライブなんてものには様々な楽しみ方があり、ノリ方も人それぞれであるのだが、その時の私は豹変したメガネ兄さんのバイブスがこの会場中の全員に充満しているものとしか思えなかった。

それだけovertureがかかった時のメガネ兄さんをはじめとした会場の盛り上がりはすさまじく、私は圧倒されてしまった。

 

メガネ兄さん(第二形態)が人だった時に渡してくれたのど飴も、元の姿に戻った時に人間の言葉を失わないための魔法石だったのだ。あの様子では多分効かないと思うけれど。

 

5.正体 ー中心にいた5人の少女ー

 

誰のライブだとか曲がどうだとかメンバーがどうだとか、そんな話の前に会場の熱量に顔面を殴られてクラクラしていた私も、オープニングが終わりついに曲が始まるという静寂で意識を取り戻した。

現れたのは5人の少女。ももいろクローバーZ…そうだ、私は先輩に誘われたももクロのライブに来ていたのだった。

 

現れたももいろクローバーZ達は今でも彼女達のライブ定番曲である名曲『全力少女』からライブをスタートした。もちろん当時の私は曲名もその価値も何も知らないので、再び燃え上がった客席の熱量の波にただただ呑まれていった。

 

そして私は波状の熱狂に何曲も揉まれる中で、会場で自分だけが棒立ちでライブを観ていることにそわそわしてきた。そして

「私もその光る棒を振りたい…振らなきゃ…」

と思い始めた。もう乗るしかない、このビッグウェーブに。

しかし私はペンライトを持っていない。大漁旗だけ買うなんて変なグッズデビューするからだ。ペンライトを買え。

 

握ったこともないペンライトが手元にないことによる強烈な手持ち無沙汰についに堪えられなくなった私はついに、鞄の中からポカリスエットの500mlペットボトルを取り出した。

そして振った。周りの男達を真似ながら、段々と彼女達の曲の楽しさに揺れながら、いつしか一心不乱に。ペットボトルを。

 

曲調や歌詞と曲名が一切一致していない私も、今思えば黄色の子は手足が長くて綺麗だなぁと思った曲は『気分はsuper girl』だったし、サビになるとメンバーを含めた会場全体が前後に体を傾けて踊る光景に驚いたのは『ChaiMaxx 』だった。当時はもちろん一つも理解できていないけれど。

 

何もわからずわけもわからないまま、私はももいろクローバーZのライブに溶けていった。

 

そしてライブが進む中で、私は段々と、この空間で1万人を沸騰させる熱の発生源となっている5人の少女に釘付けになっていく。

1万人の男達の声援に負けることなく元気一杯に歌って踊る彼女達の快活さに目を奪われたのか、アイドルがライブ中に新日のプロレスラーと戦ってるのが面白かったのか、そんな目の前の非日常を生み出してる彼女達が何者なのか知りたくなったのか、理由はわからない、その全部かもしれない。

 

初めての体験だらけで情報処理が周回遅れしてる私だったが、終演までにはとっくにこのライブ、そして彼女達ももいろクローバーZに夢中になっていた。

先輩に煽られてとはいえ、アンコールまで真面目に叫んでしまったのだから言い訳できない。

 

振り続けたペットボトルの中身はとっくに空だった。

 

6.終演ー放心と乾杯と検索ー

 

「よかったやろ」

「楽しかったです…何が楽しかったとかは全然うまく言えないんですけど…」

 

先輩と私は居酒屋で感想戦をしていた。

もちろん感想戦なんて呼び方は知らないのだけど。

 

1杯目のビールを飲み終えても私はまだポヤポヤしていた。

「良かった曲の一曲も言えないんですけど、また行きたいです…」

「またいこうや、ライブのチケットが取りづらいからな、ファンクラブ入った方がええで」

と、ファンクラブに誘われたあたりで私は我に返った。

 

一回行ったライブが楽しかったからって、有料のファンクラブにまで入るか?入るか?普通入らないよな…

 

「ちょっとまだその、いきなりファンクラブは早いと思うんですよ、流石に。彼女達のこと何も知らないし」

と、惚れた側のくせして突然の告白に戸惑うような言い訳をする私。誰かのファンクラブなんて入ったことがなかったのだ、許してあげてほしい。

 

「今日はまだ初めての体験に興奮してしまってるので冷静じゃないと思うんです。そうだな、えっと、1ヶ月。1ヶ月後もまだ好きだったら入りますよ、出会った日に突然ファンクラブはね、早いので」

 

私はその後、自分で決めた1ヶ月の経過を毎日待ち侘び、結局我慢できずに2週間後、先輩に内緒でファンクラブに入会した。あと借りたDVDは狂ったように見返した。

 

7.現在 ー最新の推しが最高の推しなのでー

 

ライブパフォーマンスでぶん殴られてファンになった私だが、その後は彼女達の多面的なアイドル性に転がるようにハマっていった。

空き時間にはYouTubeで彼女達を検索し、映像化された過去のライブは全て履修した。

 

そして知れば知るほど彼女達はアイドルという生き方に青春を、人生をかけ、全力で走り続けるエンタメアスリートだった。

 

私はハマったばかりなのにその年の彼女達の紅白歌合戦初出場を涙ぐんで喜んだし、

初めて百田夏菜子さんのエビ反りジャンプを間近で観た時は彼女のストイックさの結晶のようなパフォーマンスに涙が止まらなくなってしまった。

 

女性アーティスト単独初の国立競技場コンサートは嬉し涙を滲ませ続けながら観た。

「隣の人と手を繋いでください」と彼女達に促されて手を繋いだおじさんが恋人繋ぎをしてきてギョッとしたことも含めて今も忘れられない。

 

彼女達が紅白歌合戦に落選したことをきいて、その後百田夏菜子さんのブログを読んで「彼女達が報われない世界なんてあっていいものか」と歯を食いしばって泣いた。

 

彼女達の初アメリカツアーを観に行くのに生まれて初めてパスポートを取った。言語も違う遥か海の向こうで自分の推しを愛してくれている人々の喜ぶ顔に嬉し泣きするばかりだった。

 

ROCK IN JAPAN FESTIVALの最大ステージであるGRASS STAGEに集まった数万人のフェス観客をライブで圧倒した瞬間は、彼女達ももクロがひたむきにやってきたことは何も間違ってなかったのだと確信した。それが嬉しくて誇らしくて泣きながら客席を後にした。

 

メンバーの1人、有安杏果さんが卒業してしまった時は身体の一部が突然切り取られたようで生きた心地がしなかった。夜は眠れず食事は喉を通らなかった。

しかしその後、4人で迎えた東京ドームでの10周年ライブは私の生涯の宝物だ。

百田さん、玉井さん、あーりんさん、高城さんがグループを続けてくれて本当によかった、ありがとう。

有安さん、沢山アイドルしてくれてありがとう。

 

2021年。泣かされてばかりの私は今も、彼女達ももいろクローバーZのオタクだ。ももクロは最新のももクロが一番良いからだ。

 

ここまで長話に付き合ってくれた時間に余裕のある人は私の推しの最新MVを見てから帰ってくれ。

 

PLAY! /ももいろクローバーZ

https://youtu.be/40zYdYskPf4

 

ももクロは格好良くて、かわいくて、楽しい。

人生に推しを。週末にももクロを。

 

玉井さん早く体調良くなってくださいね。

あと私は推しを紹介するブログに謎グッズ大漁旗の写真しか使ってないの下手くそすぎるだろ。